3s活動『清掃』でルールを徹底遵守する心を育む

3s:清掃でルールを徹底遵守する心を育む(3s活動とは?3)

 

前回は3s活動の3つのsの2つ目、『整頓』の進め方を紹介しました。

 

【関連情報】>3s活動『整頓』で合理的な作業の標準化を進める

 

『整頓』は唯一、ダイレクトに改善に結びつく施策です。

それゆえに推進側としてはどんどん進めてもらいたいと考えてしまいます。

 

しかし3s活動は継続が最も重要で、最も難しい

 

だからこそ『いくつか実施したいけどまだやれてないことの方が多い』と感じてもらうくらいが丁度いいんです。

『次のクール(期間)ではこれを取り組みたい』と心残りがある状態がベストバランスです。

 

ぜひ、たくさんの改善点を抽出しながらも、取り組めないもどかしさを武器にしてください。

 

 

さて今回は3s活動の3つのsの3つ目、『清掃』の進め方について説明をいたします。

 

 

目次

3s活動の中で『清掃』が最も重要な理由

 

3s:清掃でルールを徹底遵守する心を育む

 

これまでの3s活動の取り組みの中で、『整理』『整頓』はそれぞれイベント性の強い”お祭り”型の実施内容でした。

 

実施期間が決定しておりその実行のために多くのヒト達のチカラを合わせて企画・準備していく。

そしてその実績期間に成果を出していく類の活動です。

 

一方でこの『清掃』だけは毎日コツコツ積み重ね型の実施内容となります。

実はこれだけちょっと異質なんですね。

 

しかし、3s活動の中ではこの『清掃』が最も重要だと言われています。

それはなぜか?

 

これこそが仕事の美しさである、組織的な『気付く』訓練に他ならないからです。

 

もう10年ほど前に『KY』という言葉が流行語大賞をとりました。

 

『空気を読む』ことが常識化している日本ならではの現象でしょう。

この『読む』というのはヒトの気持ちに『気付くかどうか』ということ。

 

つまり、『KY』にならないためには
『このヒトこう感じてるんじゃないかな』
『きっと、あのヒトならこうして欲しいはず』
『これ以上続けたらおそらく気分を害しそう』
など、先回りして気持ちに気付けるほど、『周囲のヒトの表情やしぐさの微妙な変化に意識を向けておく』必要があります。

 

要するに、問題意識の有無なんです!

 

その問題に気付くために必要な要素があります。
それは『理想的な姿』という比較対象を持っているということ。

 

『こうありたい』という具体的な理想を持っていなければ、今目の前の状況に違和感を感じたりはしません。

 

つまりその理想を持ち続けることができるかどうか?
『気付く』能力を高め続けることができるかどうか?

こういった訓練には毎日の『清掃』がとても有効なのです。

 

清掃を進める目的~5心を高める~

 

3s:清掃でルールを徹底遵守する心を育む

 

『清掃』は心磨きです。

 

決められたことを守り続ける訓練であるだけにとどまらず、次の5心を高める訓練だともいわれています。

『完遂する心』:時間いっぱい一心不乱に取組む気持ち
『清潔に保つ心』:”清潔を保とう”とする高い目標意識
『感謝・思いやりの心』:ヒトもモノも大切にしようとする姿勢
『注意をし合い受け止める心』:相互に高め合い素直に受け止める精神
『違いに気づける心』:異常をいち早く発見して対処する習慣

 

ご家庭であっても、職場であっても、清掃・掃除を毎日取り組んだ経験がある方はよくわかると思うのですが、最初はゴミの有無、次はチリの有無、そしてホコリの有無などと、どんどん気になる対象が小さくなっていきます。

そして同じ場所、同じアイテムを清掃していると、いつもとの違いによく気が付きます。

 

気が付いたら、その場で対処できるものはすぐ処理します。

できないものはすぐ他者へ依頼します。

なのでトラブルを未然に防ぐことが日常になるんです。

 

この毎日の気付きパワーはやはり凄まじい!

その凄さを知っているのはやはり毎日やったことのある職場だけなんです。

 

だから差がでるんです。

ご想像いただけますでしょうか?

 

『徹底できる職場』『徹底できない職場』の圧倒的な違いを。

 

 

清掃道具はできるだけシンプルなツールを使う

3s:清掃でルールを徹底遵守する心を育む
3s活動を開始する時、覚悟を決めたリーダーが予算を取ってきて、清掃に使う道具を新しく買い揃えようとすることがよくあります。

心意気はとても買いますが、最新の掃除機を担当の人数分とか、モップをエリア分全員分とか、実際に道具を買うかどうかは少し待っていただきたいのです。

 

と、言うのも清掃道具にも理想的な選択があるわけです。

 

ヒトは身近にあるものを意識します。

この3s活動の『清掃』には『気付くチカラ』養成のための訓練であることも大きい。

 

ですから極力、清掃をする対象との距離が近くなる道具が理想的なのです。

 

たとえば吸引力の変わらない最新掃除機より、柄の短い掃きホウキがいいです。

床を見ながら丁寧に掃除しますし、何よりチリやホコリを自然と気にしますし、どう舞うか?を想像します。

こういった細かい感性を磨ける舞台をつくりたいのです。

 

さらにはスイスイ磨けるモップより雑巾です!特に色はです。

モップは寝ボケながらでも往復できますが、雑巾なら床に手をついて丁寧に磨きこむ必要があります。

また白ですと、汚れのとれ具合が一目で把握できます。

 

それって不衛生でしょうか?
従業員にやさしくないですか?
ブラック企業ですか?

 

『清掃』で会社を成長させたことで有名なイエローハット創業者の鍵山秀三郎さんは、トイレは素手で洗うことを推奨しています。

信じられませんか?ぜひやってみてください。できませんか?笑

 

彼は創業した会社で、自ら毎日無言でトイレ掃除を素手で続けていました。たったひとりで。

従業員は当初はそれをただ見ていただけなのだが、10年間も続けるとさすがに手伝う従業員が現れ、それがあれよあれよと全員が取り組むようになったそうです。

きっと従業員の皆さま、ずっと長年気にしていたんでしょうね。

『社長にそこまでさせていいのだろうか?』

『でも素手でトイレは洗えないし、そもそもおかしいし』

『ああ!あのヒトがやり始めたならボクもやろう!!』

そうやって堰を切ったように急激に伝染していったことが想像できます。

 

そして業績はうなぎのぼりになり、現在では売上高:1200億円、純利益:55億円にまで成長しました。

 

え?業績が?なぜでしょうか?もうおわかりですね!

 

素手である理由は、対象が一番近いからです。

それにより感性=気付けるチカラを鍛えられたからです。
さらに本質を指摘するなら、『もっとも目を背けていたい対象』にまっこうから毎日向かい合うことにより、何事にも果敢に挑戦する集団になったからです。

 

トイレを全員が素手で、しかも毎日洗う集団ですよ!

そりゃもう業務上の心理的なハードルなんてあるわけないですよね。

勝てますか?あなたの職場は勝てそうですか?

 

鍵山氏の座右の銘は『凡事徹底』だそうです。

もうむちゃくちゃカッコいいんですが、ご本人はダジャレが大好きで笑顔が絶えない変なおじさんキャラを徹底してます、笑

 

気にしない!と決断したら。。。意外とやれちゃいますよ!
ええ、素手でトイレを洗うお話しです。

 

ぜひ、トライして感想をコメントかメッセージをくださいませ。
あなたのご連絡を楽しみにお待ちしております。

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清掃の進化論~清掃の5段階評価~

3s:清掃でルールを徹底遵守する心を育む

 

 

『清掃』を進めていくと、回数を重ねるにつれ、清掃の対象が進化していきます。

ま、ここで言う清掃の対象の進化を5段階で評価していくとしましょう。

 

ゴミ:粗大ゴミ、不要な小物など両手で持つことのできるもの
チリ:紙屑、糸屑など、指でつまむことのできるもの
ホコリ:息を吹きかけると飛んでいくもの
汚れ:油汚れなどこびりついて取れないもの
ピカピカ:顔が映るくらいツヤツヤな状態

もちろん最終的にはピカピカを目指して維持する状態がゴール

 

しかし現在の職場の状態がどの段階なのかを知る必要があります。

 

まずはゴミがないようにできたとします。

そうすると次はチリひとつないようにするにはどうすればいいか?

またチリがなくなったら次はホコリ。。。というように、段階を上げていくことを考えたいわけです。

 

なので、3s活動のクール(期間)が終わる度に、改善アンケートなどで意見を集中し、しっかりミーティングして清掃の仕組みを改善していきます。

 

時間はかかるし、地味に感じることがあるかもしれませんが、この感性の高まりは必ずや普段の仕事の質を変えていきます。

 

 

そりゃそうですよね。

 

毎日の清掃レベルが高度になっていく。そうすると当然清掃の仕方も高度にならざるを得ない。

ならば自然に普段の仕事の仕方もそのレベルを目指すように職場全体が変わっていきます。
少しずつ

確実に
そしてその検討段階では、誰か声の大きい、あるいは発言力のあるヒトの意見だけで物事が決まるのではなく、職場の最適な状態が高くなることで、本来取り組むべき本質的な議論で施策が決まる基盤が育ってきます。

 

だから、この『清掃』という施策が3s活動の中で最も重要なのです!

 

ぜひ、コツコツと時間を決めて、全員で取り組んでいただればと思います。

 

これは全員でやらなければ意味がありません。

 

そのため、ぜひ一部のヒトの言い訳を優先せず、辛抱強く説得を継続して全員参加を日常化してくださいませ。

 

 

それでは今日はここまで
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

 

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

 

すべては企業発展のために
すべてはみんなの笑顔と元気のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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