3s活動『整理』で必要なモノだけの職場をつくる

1s:整理で必要なモノだけの職場をつくる

前回は3s活動チェックシートの説明とその応用方法を紹介しました。

 

【関連情報】>3s活動の推進尺度!3s活動チェックシート

 

3s活動は仕事への取り組み方の変革を進めます。

○ 鋭敏な問題意識
○ 積極的な行動力
○ 相互理解のある集団力

を職場環境と共に磨き上げます。

 

『磨く』ことは一見ただのキレイゴトに見えます

しかし本当の意味は
自らに無数の傷をつけていく行為

 

文字通り無傷ではいられません

 

最初は荒い傷を、何度も何度もつけることから始まります

そして最後には細かい傷をつけることで、表面がすべらかでピカピカに近づきます

つまり職場磨きとは
今まで大切にしてきた
重要視してきた『考え方』を一旦破壊して

そして改めて構築し直すことを
繰り返す作業であり
当然痛みも伴うのです

 

しかし新たなステージに上るためには
決して無駄にはなりません。

 

ぜひ覚悟をもって
3s活動に挑戦していただきたいと考えています

 

さて、今回はそんな3s活動の最初

 

『整理』について解説を進めてまいります。

 

 

目次

『整理』の考え方と進め方

1s:整理で必要なモノだけの職場をつくる

 

『整理』それは3s活動の入口となる、まず最初に開催するイベントと言っていいです

 

これによって参画するメンバーが
『いよいよ3s活動が始まった!』
と感じる機会とすることがひとつのゴール

 

というのは、3s活動の中でこの『整理』がもっともビジュアルインパクトが強いからです

なので改革が始まったことを肌で感じることができます

 

これが『整理』を実行する最大の目的なのです。

 

考えてみればそりゃそうなんです。

 

この『整理』を実行するだけで、不必要なモノが一定量ゴソっとなくなるんです

 

そして今まで簡単には生まれなかった余剰スペースが生まれるんです。

 

参加メンバーからすると
『おー3s活動、リアルに始まったな』
という感想になります。

 

なので、これは日程をしっかり決めて
ごっそりやっちゃってください
派手に捨てちゃってください

 

それが最大のインパクトになり今後の活動に拍車がかかるのですから

 

ま、そうとは言いつつ、この『整理』は潜在的にもうひとつ大きな意味があります。

 

それは。。。

 

『整理』が潜在的に持つ2つの意味

 

整理とは『必要なモノと必要でないモノとを分けて、必要でないモノを捨てること』です。

 

それを実行するには『必要なモノ』『必要でないモノ』を区分する基準が必要なんです。

 

直観的に『あ、これ要る』『これ要らない』と分けるのではなくある一定の基準を元に判断します。

 

つまり『ルールづくり』とその『徹底度合い』が求められるのです。

 

まず一般的なルールは時間軸で
以下のようなカタチで設定するのが一般的です

○ 生品:  使用頻度が高く、24時間以内に使うモノ
○ 休品:  1週間以内に必要なモノ
○ 半死:  6ヶ月以内に必要なモノ
○ 死蔵品: 6ヶ月以上使わないモノ

 

これは業種、業態によって適正値はマチマチですので、それぞれの仕事の実態に合わせて検討・設定いただくことがポイントです。

 

そしてこれを決めたら。。。
必ず『徹底する』ことを肝に命じてください。

 

3s活動は『決めたこと、決められたことを守る空気をつくる』ことが大きな目的のひとつです。
なのでここは一度決めたルールは全員で必ず守ることが前提です。

 

しかし一方で、一応検討して作ったルールを適応してみたら、とんでもない損失を生み出してしまう可能性があります。

もしそうなったら、もう3s活動は一旦中止宣言をすることをお勧めします。

 

なぜなら。。。

 

基準(ルール)をつくるということは熟考を重ねることを意味します。

さまざまなパターンを想定して一番最適なルールをひねり出します。

 

そりゃ経営改革ですから、それくらい慎重で真剣でなければなりません。

 

にもかかわらず、そのルールを適応してみたらいきなり大損害が発生?

場合にもよりますが、それはほとんど考えていないに等しいと結果だと言えます。

そんな状態で3s活動も何にもあったものではありません。

 

また、これはよくあることなのですが、ルールを適応したら、社長の捨てたくないモノが『必要でないモノ』と判断された場合、社長特権でその判断をくつがえすことがあります。

 

それは絶対にやめてください。

 

3s活動には『例外はつくらない!』という鉄則があります。

このオキテは何が何でも守ってください。

 

でなければ、結局すべて社長のお伺いを立てることが必要となってしまい、そんな環境下では自発的に仕事をしようなんて従業員はほとんど生まれてきません。

 

『なんだ。あれだけ3s活動で改革なんて言ってたけど、その程度か』とメンバーは活動そのものをなめてかかります。

そりゃそうです。

『しっかりした理由さえあれば徹底しなくてもいい活動』だと、TOP自ら宣言したようなものですから。

こうやって多くの企業では3s活動がただの美化運動と化し、形骸化してしまうのです。

 
工場にお伺いしているとよく拝見します。

『3s活動展開中』などと大きく掲示しているものの。。。

リフトはラインからはみ出して
道具箱には不要な部品が山積みで
床は油まみれ。。。

正直、苦笑いしかでません。

こういった職場では必ず事故が起こります。
 
なぜなら。。。。
 
事故にならなかったらセーフ!という職場だからです。

事故未遂はすべて放置され、作業者の安全を管理しようとしない職場だからです。

だから、リフトも、道具も、油も、後で処理すればセーフ!なんです。
 
夏休みの宿題をいつまでもしない子供と同じ。

9月1日の始業式に提出できればセーフ!なんです。

 
そういった感覚で仕事をこなしているわけです。

この職場に、本当に品質の維持・向上が望めるのでしょうか?

『あー、すまん。あとでやるよ。』
ですんじゃう職場と、すまされない職場と

あなたなら、どっちに仕事を頼みたいですか?
あなたは、どっちの職場に所属していたいですか?
 
ね、本質なんて、わざわざ確認しなくても、みんな理解しているんです。

そしてあわよくば、そんな職場になったらいいな、と思っているんです。

 

だから、本当の成果を生み出す活動とするなら
従業員が自発的に問題解決をする職場をつくりたいなら

ルールを決める。それを徹底して守る。

すべてそこから始める必要があります。

 

ですのでここは
大きな覚悟をもって
苦渋の決断でもって
TOP自ら、組織的活動を優先し、死守していただきたいと願います。

 

『もったいない精神』の真実

1s:整理で必要なモノだけの職場をつくる

 

多くのヒトはどうでしょう?

 

自宅の整理を進める時にも
『あ、これ使うかもしれない』
『想い出があるから捨てられない』
『判断不可、とりあえずキープ』
、『必要でないモノ』かもしれないアイテムを多く抱えているのではないでしょうか?

 

その多くの言葉としては
『もったいないから捨てられない』
なのだろうと想像します。

 

世界的にも節約の代名詞として『Mottainai』
注目を浴びていますよね

 

でも。。
でもね

 

真の『もったいない精神』とは、『必要なモノを大切に』することだと思うんです。

 

『ヒトを大切にする』

とっても素敵な表現だと思います。
私自身もこの言葉は大好きです。

でも、ここでいう『ヒト』とはすべてのヒトを指すのでしょうか?

 

『すべてのヒトを大切にする』

もしそういう意味なら、これは神や仏の領域であり、とても現実的だとは思いません。

 

『ヒトにやさしく』
『誰にでもやさしく』でしょうか?

『お客様、第一主義』
『お金を払ってくれるヒトなら誰でも優先順位1番』

もう、これって思考停止ですよね!
って、すみません、行き過ぎたかも、苦笑

 

さて、話を元に戻しますと。。。

ここでいう『ヒト』は、一部の『ヒト』を指します。

それが誰なのかは、自分達が、会社が、我々が定義すべきことです。

 

そう、つまりある一部、大切にしたい誰かを『ヒト』とくくるなら、それはもうすべて理屈が合うのです。

なので『モノ』も同じです。

大切にするのは『必要なモノ』に限定するのであって、『必要でないモノ』は対象外です。

 

そうなんです!

 

3s活動の『整理』とは、我々の職場に『大切なモノしか存在しない』ようにする活動なんです!

 

 

もう活動後は、あなた職場には『大切なモノ』しかないん状態になるんです。

つまりそれこそ『すべてモノを大切にできる世界』を創り出すことができるんです!

 

ね、3s活動の『整理』、すごいですよね!

 

そんな『整理』を進めるための超定番で効果抜群なのが。。。

実は『赤札作戦』という手法(イベント=お祭り)です。
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赤札作戦とは?その進め方

1s:整理で必要なモノだけの職場をつくる

 

赤札作戦とは、『必要でないモノ』をあぶり出す手法です

 

具体的な手法は以下のとおり

会社の中で不要と思われるモノに、どんどん赤い紙「赤札」を貼っていって、使用したモノはどんどん赤札を外していき、一定期間、赤札が貼ったままのモノを『必要でないモノ』と判断して処分するシンプルな手法である。

ただし、 処分判断期間は通常1カ月、厳しい現場では1週間など

そしてそれを下記の手順で進めていきます

【赤札作戦の進め方】
1)整理が必要な対象エリアの決定
2)赤札基準期間の決定
 →一般的には1か月使わなかったモノ
3)赤札の作成
4)赤札の貼付け → 一覧表を作成
5)赤札品の対処と評価
6)必要でないモノの処分

 

結構シンプルですので、わかりやすいですよね

 

このようなプロセスをトレースすることで、定期的に必要なモノだけの職場へと変革していきます。

 

また、この赤札作戦を成功させるポイントとして

1)赤札作戦プロジェクト組織を発足し打ち合わせする
・ 全社的な組織として認められた赤札作戦プロジェクト組織(一般的には『整理』の担当)を発足し、実施内容について打ち合わせを実施する。実施内容を説明、問題点があれば解決策を用意し、実施スケジュールを立てます。

2)赤札作戦プロジェクトの実施計画を通知
・ 全社メンバーに対し、当プロジェクトがいつ、何をどのように実施するのかを通知し、注目を浴びる状態とします。

3)赤札作戦を実施
・ 計画どおり赤札作戦を実施します。

何回も説明しますが、これはイベント(お祭り)なのです。

 

3s活動を開始して最初に取り組む実行イベント

 

多くのメンバーと一緒に検討を重ねながら、最適なやり方をみつけて実行することによって、ビジュアル的にインパクトのある効果により、3s活動が進行中である認識を確かなものとする。

 

そんな『整理』活動

 

ぜひ派手な大きな花火を打ち上げていただき、3s活動開始のはなむけとしていただければ幸いです。

 

 

それでは今日はここまで
今後ともよろしくお付き合いくださいませ☆

 

長文・乱文を最後まで読んでくださり
いつもありがとうございます♪

 

すべては企業発展のために
すべてはみんなの笑顔と元気のために

 

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この記事を書いた人

 大手総合電機メーカーで20年間経験を積んで平成22年に独立。10年間で600社を超える中小企業支援、そして自らも小売業を立ち上げて業績を安定させた実績を持つ超現場主義者。小さなチームで短期的な経営課題を解決しながら、中長期的な人材育成を進める「プロジェクト型課題解決(小集団活動)」の推進支援が支持を集めている。

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